岡山・サンコア 椿苑展《其処ハ彼ト無く2025》 楯築遺跡をテーマにした 小作品シリーズの制作背景
- 苑 椿
- 2 日前
- 読了時間: 3分
今年も終わりに近づいてきたので今年開催した展覧会を振り返ってみようと思う。
2025年8月、サンコアで個展を開催しました。
5月の二人展で得た学びと反省を踏まえ、今回は展示の構成を一から考え直しました。
今回は 0号・SMサイズを中心とした小作品 を多数並べるというチャレンジを選びました。多くの方が私に対して“大作の作家”というイメージを持っていることもあり、
その固定観念を一度払拭したいとも感じていたからです。

楯築遺跡をモチーフにした小品シリーズ
2024年末に楯築遺跡を知ったことをきっかけに、継続的に現地取材を行ってきました。
そのなかで得た感覚や考えは、今年の二人展を経てさらに広がり、
より深いテーマとして自分の内側に根づきつつあります。
今回の0号、SMサイズの作品は、すべて 楯築遺跡の風景や気配を
“感じたままに形にしたもの” です。楯築という場所が持つ空気や、
古代から続く時間の流れが、自然と筆先にあらわれたように感じています。

展示プランが何度も変わり続けた理由
展示構成は、準備期間中に何度も変わりました。
「この並びの方がいいのではないか」
「このテーマなら点数をしぼるべきではないか」
など、考えが揺れ続け、制作の進行具合と合わせて展示プランが二転三転。
最終的には、自ずと“あるべき形”に落ち着いていったように思います。
実際に飾り付けをはじめてからも、予想と違う感触があり、
何度も作品を移動させながら微調整を続けました。
空間の中で作品がもっとも心地よい配置を探すことは、
個展ならではの醍醐味だと改めて感じました。

横並びの展示が生んだ「時間の連続性」
今回は、同じサイズの作品を横に連続して展示する構成を選びました。
これは、映画のフィルムのように「時間や記憶のつながり」を可視化したかったからです。
楯築遺跡に取り組む中で、私は次第に古代吉備の歴史にも関心を持つようになりました。
ご先祖がいて今の自分がいる――そんな直感的なつながりが、
さらに遠い古代へと広がっていくように感じています。
普段は作風が安定せず、表現がさまざまな方向へ広がってしまうのですが、
同じ場所(楯築遺跡)をテーマにしたことで、連続した展示でも違和感が少なく、
それが一つの発見でもありました。

制作も展示も「初めての挑戦」の連続だった
楯築遺跡をテーマにして臨む初の個展。
制作の途中では不安もありましたが、振り返れば夢中で描き続けた時間でした。
小品の連作という新しいスタイルにも挑戦し、結果として、自分の作品世界を
これまで以上に外へと開く機会になったと感じています。
ひとまず、これで良かったのだと思える個展となりました。





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