2025.10 倉敷天満屋個展を終えて|楯築遺跡と弧帯文と色彩でつなぐ時間の感覚
- 苑 椿
- 2025年12月31日
- 読了時間: 3分
2025年に開催した展覧会の振り返りをしようと思っていたのに
あっというまに12月31になってしまっていた。
サンコアでの個展から約一か月半という短い間隔での開催だったため、
展示の印象が重ならないよう、新作を10点制作し会場に投入した。
その多くは、以前から構想していた「弧帯文」を背景に取り入れた作品群である。
楯築遺跡の特殊器台に見られる紋様をモチーフにしたものなど、
いくつかのバリエーションも試みた。

制作の過程では、模様の線が「消えすぎたかもしれない」と感じ、
あえて強く出してみたり、弧帯文に含まれる円形の要素を月や太陽といった天体に見立てて用いたりもした。こうした試行錯誤を通じて、装飾としての文様ではなく、
時間や循環を内包する造形として扱えないかを探っていたように思う。
会場構成は、今回も大きな悩みどころだった。
サンコアで横方向に連ねて展示した方法が非常に面白く感じられたため、
倉敷天満屋でも同様の並べ方を採用した。ただし、同じ印象にならないよう
、0号とSMサイズを混在させ、リズムの異なる構成を意識した。

同じ要素の作品が隣り合うと、互いを引き立てにくくなるのではないかと考え、
バランスを取りながら配置を検討した。一方で遊び心として、色味の近い作品を並べ、
大きなグラデーションが立ち上がるような展示にも挑戦した。
楯築遺跡という新しいテーマに取り組んでいる最中でもあり、作風にばらつきがあることは自覚していたが、「同じ場所を描いている」という共通項と、色彩の連なりによって、
会場全体に強い一体感が生まれたように感じている。
また、今回の展示では「つながり」という感覚を強く意識していた。
それは作品同士の関係性だけでなく、時代と時代のつながりでもある。
右回りに会場を巡った際、最後に視界に入る位置に、
時空をつなぐイメージで制作した作品を配置した。

あえて大作を置けそうな場所に小品の集積を配し、その間に個人的に気に入っている表現の作品を挟み込んだことも、空間に独特の緊張感を与えてくれたように感じた
会場奥中央には、DMに使用した作品を展示した。
何人かの方から「何も描いていないように見える」と言われたが、
個人的にはとても気に入っている作品である。意識して見ないと造形が立ち上がってこないこと、曖昧さや移ろいといった「間」を、色彩の変化によって表そうとした試み
でもあった。最近では、この表現が多様性の象徴のようにも感じられている。

かなり無理のあるスケジュールではあったが、追い込まれた状況の中でこそ見えてくるものもあり、結果として充実した展覧会になったのではないかと感じている。






コメント